2026.08.02
新潟県 令和8年度 にいがたヘルスケアEBPM人材育成事業「BIツールによるデータの可視化」公開講義を実施しました
株式会社アイセックは、新潟県より受託した「令和8年度 にいがたヘルスケアEBPM人材育成事業」の一環として、2026年7月22日(水)に公開講義「BIツールによるデータの可視化」を開催いたしました。
本事業は、エビデンス(データや客観的根拠)に基づく政策立案(EBPM:Evidence-Based Policy Making)の思考を自治体職員に定着させ、保健医療福祉施策の課題解決に向けた実践力を身につけることを目的としています。
全15回の研修プログラムのうち第3回目にあたる今回の講義は、昨年度の受講生から「業務に直結して大変ためになった」と非常に高い評価を得たことを受け、今年度は門戸を広げた「公開講義」として開催。本事業の受講生21名に加え、新潟県庁や県内市町村(村上市など)の職員22名がオンライン・現地で参加し、合計43名が受講する大盛況の講座となりました。
「データ分析の考え方とAI活用」講師は元厚生労働省・地域医療計画課の五十嵐諒氏(BSNアイネット)

講師には、昨年度に引き続き株式会社BSNアイネット ヘルスケアビジネス事業部の五十嵐諒氏をお迎えし、「データの見える化入門 Power BI × AIの実践」と題した講義・ワークショップを行いました。
五十嵐氏は、病院向け医事会計システムや健診予約システムの開発・保守運用に携わったのち、厚生労働省 医政局 地域医療計画課へ2年間の官民交流に参加し、病床機能報告や地域医療支援病院に関するデータ分析業務を担当した経歴を持ちます。
講義の前半では、日常的なお昼のメニュー選び(価格やカロリーの比較)を例に「データ分析とは無意識に行っている比較と意思決定のプロセスである」という基本概念が説明されました。
また、病院の待ち時間削減をテーマにしたケーススタディでは、直感で「人を増やす」といった解決策に飛びつくのではなく
1. 問題を分解して原因(特定時間帯への集中など)を特定する
2. 仮説を立てて施策を実行する
3. データを比較・検証してPDCAサイクルを回す
というEBPMの実践ステップが提示されました。
さらに、複雑な数値をグラフとして「可視化」することで、関係者全員が同じ認識を持てる重要性が強調されました。

今年度からの新たな取り組みとして「生成AI」の活用ノウハウも紹介されました。AIを「文句を言わず手助けしてくれるアシスタント」として位置づけ、プロンプト(指示文)のコツや注意点(機密情報の取り扱い・ハルシネーションへの配慮)を押さえつつ、仮説立案や情報整理の「最初の相棒」として上手に頼る姿勢が共有されました。
Power BIを用いたハンズオン演習

後半のワークショップでは、Microsoft Power BIを用いた実践的なハンズオン演習を実施しました。
受講者は、厚生労働省が公開している「令和6年度病床機能報告(新潟県分)」の実データを使用し、
・新潟県内7つの構想区域ごとの病床数の可視化
・各医療機関の機能区分(高度急性期・急性期・回復期・慢性期等)の構成比や役割分担の把握
・病床数上位医療機関のグラフ化とフィルター処理
といった一連の操作をノーコード(ドラッグ&ドロップ)で体感しました。
これまで「ツールはあるが使いこなせていない」「難しそう」と感じていた受講者からも、自らグラフを作成・操作することで「数字の羅列から直感的に地域の課題を発見できる」「これなら業務にすぐ活用できそう」といった実感が得られ、難しい統計知識がなくても課題解決へ踏み出せる成功体験を共有する場となりました。
「ベンダー任せ」から「自治体目線」の分析へ

講義に先立つインタビューで五十嵐氏は、「BIツールは県庁の各部署で導入されているものの、使い方をきちんと学ぶ機会は少ない」という実情を指摘。「Power BIはマウスのドラッグ操作だけで扱えるものも多く、そうした“入りにくさ”の壁を取り払うことを今回の狙いとした」と話しました。
また、医療データの活用については「個人情報の壁がある一方、電子カルテのクラウド化が進み、扱えるデータの幅は広がりつつある」とし、今回題材とした病床機能報告データについても、「これまでは自治体がベンダーに分析を委託するケースが多く、どうしてもベンダー目線の分析になりがちだった。自治体自身の目線で分析できれば、医療機関同士の連携の可能性など、地域の実情に即した気づきが得られる」とその意義を語りました。
今後の展望 「成功体験を持ち帰ってほしい」アイセック木村代表

講義の冒頭、主催者である株式会社アイセック代表の木村大地は、「知識を得るだけでなく、可視化によって素早く現状を把握し、仮説検証を繰り返す感覚と成功体験を持ち帰ってほしい」と語りました。
研修受講生(25名・6グループ)は、本講義で身につけたデータ可視化やAI活用のスキルを活かし、今後「予防接種の接種率向上」「介護現場におけるテクノロジー定着支援」「持続可能な精神医療提供体制の整備」という3つのテーマに分かれ、具体的な「問題解決シート」の作成とフィールドワーク(ヒアリング等)を進めてまいります。
株式会社アイセックは、今後もデジタル技術やデータ利活用研修を通じて自治体職員の皆様のEBPM実践力を育み、地域社会の保健医療福祉の発展に貢献してまいります。

